船舶検査を受ける
ボートには車で言うところの車検のように船舶検査というものがあり、小型船舶検査機構(JCI)で受ける必要があります。船舶検査は定期検査と中間検査があり、定期検査を受けた3年後に中間検査を受け、その中間検査を受けた更に3年後に定期検査があります。つまり3年に1度検査があるということです。検査には費用が掛かりますが、ボートの大きさで金額が変わるのに加え中間検査と定期検査でも金額が変わります。金額は下の通りで、例えば19フィート以上のバスボートは『5メートル以上10メートル未満の旅客の定員が12人までの船舶』という分類になります。12フィートのアルミボートは『3メートル以上5メートル未満の旅客の定員が12人までの船舶』の分類です。船検の際は小型船舶検査機構から船検時期が近づくと所有者に船検に必要な書類等が郵送されてきます。もし、平日に休みが取れなく自身で船検が受けられなくてもボート屋さん等で船検の代行も行っているので近くのボート屋さんに相談してみるといいと思います。その際は小型船舶検査機構から郵送されてきた書類に加えて、『委任状』が必要になります。委任状はボート屋さんで用意してくれると思いますが小型船舶検査機構のホームページからも印刷できますのでご利用ください。(小型船舶検査機構)
自身で船舶検査を受ける場合ですが、まずは検査を受ける場所を決めます。管轄の小型船舶検査機構に持ち込む方法と、小型船舶検査機構が遠い場合は小型船舶検査機構が定期的に巡回して出張検査を行っているタイミングに合わせて指定場所で検査を受ける方法があります。出張検査を利用する場合は電話等で小型船舶検査機構の方と事前に打ち合わせをして検査場所を決める事になります。出張検査を希望する際は一週間前までに打ち合わせを終えて必要書類を小型船舶検査機構へ送らなくてはいけないのでお忘れなく。小型船舶検査機構に持ち込みで検査を受ける場合は事前に検査日を知らせた後に当日必要書類と検査対象のボートを持ち込めば大丈夫です。持ち込みの場合は当日に新しい船舶検査証等を発行してくれますのでお急ぎの方は持ち込みで検査するといいと思います。検査を受ける際は事前に検査手数料を郵便局で支払っておく必要もありますので、忘れずに郵便局に行きましょう。
船舶検査を受けるにあたっては必要書類と同送されてくる「自主整備点検記録」を記入して提出すると検査の一部が省略されますので提出した方が良いと思います。さらに、検査の前に整備等をして機関部や船体に異常が無い事を確認し異常があれば修理・補修を済ませ、法定備品のチェックを行うことで検査はスムーズに行われます。検査に必要な法定備品は下の通りです。『限定平水』登録のボートでは、【係船ロープ…2本・アンカー…1個・アンカーロープ…1本・救命胴衣…定員と同数・救命浮環…1個・信号紅炎…1セット(携帯電話でも登録可)・赤バケツ…1個・ビルジポンプ又はバケツ及びあかくみ(赤バケツと兼用可)・笛…1個・工具…ドライバー1組・レンチ1組・プライヤー1個・プラグレンチ…1個】以上が必要な法定備品です。ロープの長さや救命胴衣の種類等は細かな規定がありますのでご注意ください。船舶検査に関して不明な点がある場合は管轄の小型船舶検査機構へ問合せると親切に対応してくれます。不安なまま検査を受けて不合格とならないようにしっかり準備をしましょう。
ボートに必要な消耗品について
バッテリー
ボートの釣りで必ず必要な消耗品の1つがバッテリーです。使用頻度や保管状況でバッテリーの寿命は大きくかわりますが極端に使用頻度が高くなければ2年~4年は使えると思います(使う側の個人差が大きいので参考程度の数字です)。現在多くの方が使用しているのがディープサイクルバッテリーと言われるものです。下の画像がいわゆるボイジャーバッテリーと言われているものですが、このバッテリーはいくつか大きさの種類があり、バス釣りで最もよく使われているのが『M27MF』です。それより小さいM24MFでは容量が小さいので長時間釣りをする場合にはおススメできません。価格は時折値上がりを繰り返しているので13,000円から16,000円前後で、販売店によっても大きく変わります。近年はこのボイジャーのバッテリー以外にも様々なバッテリーがバス釣りのボートに使われていますが、価格が手ごろなのでいまだにボイジャーバッテリーを使用する方が多くなっています。
ボイジャーのバッテリーは1つ12ボルトですのでエレキが12ボルトのものなら1つ、24ボルトのエレキなら2つ必要になります。24ボルトのエレキを使用する際は12ボルトのバッテリーを2つ繋ぐ必要がありますが、その際は専用の『ジャンパーケーブル』を使って24ボルトにします。
リチウムバッテリー
ここ数年、リチウムバッテリーがかなり注目されています。ボイジャーのバッテリーは鉛バッテリーですが、この鉛バッテリーとリチウムバッテリーの違いは多くありますので簡単にご説明いたします。リチウムバッテリーのメリットは『軽さ』。鉛バッテリーは非常に重いです。鉛バッテリーは12ボルト1個で約24㎏に対してリチウムバッテリーが24ボルト1個で約10㎏ほどです。24ボルト1個で約10㎏…リチウムバッテリーは12・24・36ボルト使用のものがあるので、鉛バッテリーの様にエレキのボルト数に合わせて何個もボートに積む必要がありません。しかも軽い!!鉛バッテリーで24ボルト仕様にする場合は12ボルト約24㎏×2個=約48㎏に対してリチウムバッテリーは24ボルト1個で約10㎏!この驚異的な軽さでボートを軽くすることが出来るので単純に湖上での移動スピードがアップします。更にボートへのバッテリー積み降ろしの労力を大幅に軽減することが出来ます。バッテリーが軽くなるだけでボートユーザーにとっては大きなメリットになるのです。次に、バッテリーの寿命ですが、使用している個人差はもちろんありますが、鉛バッテリーは約2年~4年ほどに対してリチウムバッテリーは約10年と非常に長持ちします。次に、充電時間ですが、鉛バッテリーの充電時間は約5~6時間かかるのに対して、リチウムバッテリーは2時間ほどで完了。しかもリチウムバッテリーは24ボルトでも36ボルトでも1個充電すればOKです。リチウムバッテリーは良いことばかりで最高のバッテリーに見えますが、もちろんデメリットもあります。リチウムバッテリーは完全防水ではないので使用する際は雨水などには気を付けなくてはいけません。バスボートではエンジン始動用のバッテリーが必要になりますが、エンジン始動用には使えません。そしてなにより価格の問題があります。上記の様にすごく良いバッテリーなのですが価格は24ボルトのリチウムバッテリーで約10万円ほど…ボイジャーを1個で約15,000円だとして2個で24ボルト約30,000円なので、ボイジャーの約3倍以上の価格です。消耗品に10万円…しかし、約10年間買い替える手間が無く、考え方次第では1年約1万円で上記の様なメリットを得られると考えれば高くはないのではないでしょうか!?そういったことを特に理解している関東のリザーバーのレンタルボートユーザーはリチウムバッテリーを取り入れている方が急増しているようです。しかし、高価なものなので、ボートを購入してすぐに取り入れる事はあまりお勧めできません。鉛バッテリーを使用していてリチウムバッテリーの特性を理解した後に必要だと感じてからでもいいと思います。
アルミボートで1日釣りをする場合に掛かる費用
実際にアルミボートで釣りをする場合に掛かる費用について考えてみます。アルミボートも様々なタイプがありますが私が実際に乗っていたアルミボートを例に紐解いていきたいと思います。私が一番最初に購入したアルミボートはVハルのステーサー12フィートでエンジンはヤマハ9.9馬力でした。当時は八郎潟と桧原湖に行っていたのですが、今回は大きなフィールドでの費用を見ていくために八郎潟を例に見ていきたいと思います。
施設利用料
釣りをする湖ごとにマリーナがあると思いますが、そこでは施設利用料やスロープ利用料というものを支払うことになります。マリーナ以外でのボートを出せる場所があったとしてもマリーナを利用することをおススメいたします。理由は、もし何らかのトラブルがあった場合にレスキューに来てもらったり、的確な対処法を教えてもらえる存在だからです。例えば、広大なフィールドで急な天候の悪化…そんな状態でエンジントラブルが起きて身動きが取れなくなった場合を想像してみてください。最悪の場合は命に関わるかもしれません。安全にボートフィッシングを楽しむためにも各マリーナへの施設利用料を支払って利用しましょう。私が八郎潟で利用していたのは八郎潟東部のSTCさんです。STCさんを例に見ていきますと、アルミボートの施設利用料は会員以外のビジターで一日1836円ほどです。年会費の12960円を支払えばブラック会員となり一年間それ以上の使用料がかかりません。一年間で何回釣行するかを考えて利用するといいでしょう。今回は例として施設利用料は一回の1836円掛かるとしておきます。
ガソリン代はどれくらいかかるのか
ガソリンの使用料はかなり個人差があります。例えば、有りがちなのはバスボート・アルミボート問わず、ボートを購入したばかりで走るのが楽しくて移動を繰り返しガソリンを大量に消費するパターン。もう一つは魚の動きが読めていない為に移動を繰り返し、手当たり次第に移動してガソリンを大量消費するパターン。もちろん移動することが悪いわけではありません。釣れない時ほど移動が多くなるのはよくあることですが、いつもそうならないように考えて魚を探していくのがバス釣りですので、ボートに乗っていてもしっかりパターンを掴んでいれば無駄な移動は少なくなりガソリンの消費も少なくなります。それでは、実際に一日釣りをした場合のガソリンの使用量ですが、2ストの9.9馬力で10ℓ~15ℓほどです。多い方でも15ℓ~20ℓだと思います。アルミボートに搭載されているガソリンタンクは25ℓのものなので、それが空になるということはかなりの移動量だと思います。今回は1日15ℓ使用した場合、レギュラーガソリンをℓ150円と仮定するとおおよそ2,250円となります。
混合オイルはどれくらい必要なのか
2ストのエンジンにはガソリンに混ぜる混合オイルが必要になります。この混合オイルはメーカーごとに販売していますのでエンジンのメーカーに合わせて利用してください。
ガソリンとオイルの混合比は「ガソリン50:オイル1」です。ガソリン25ℓならオイルは0.5ℓ(500㎖)となります。ガソリンタンクにガソリンを継ぎ足すときはガソリンを何リットル入れたかを覚えておかないとオイルを入れる量が分からなくなるので注意しましょう。オイルの量が適正でない場合はエンジンに様々なトラブルを引き起こします。オイルの量が少なければエンジンが焼き付いてしまいます。逆に多い場合はいわゆるカブると言われる現象が起き、ガソリンに火が点火しづらくなります。ガソリンに火をつけているスパークプラグにオイルが付着することで点火しづらくなる現象です。(カブッた場合の対処法については別途記載します。) 話を戻しますが、オイルの量を適正に計るべ便利な計量カップもあるのでおすすめです。それでは1日の釣行でガソリン15ℓ使用した場合のオイルの量は0.3ℓ(300㎖)です。ヤマハの混合オイル1ℓで1200円ほどだとした場合0.3ℓで360円分のオイルが必要になります。
アルミボートで1日釣りをする費用の合計
上記で書いてきた金額を合計してみます。
施設利用料1,836円+ガソリン代2,250円+オイル代360円(+バッテリー充電の為の電気代?円)
合計4,446円です。
見事に5,000円を切りました。もし、仲間を誘って二人で割勘して釣りに行ったら一人2,223円で一日楽しめることとなります。ものすごく格安で健全な趣味ではないでしょうか!?
もちろんこの他に、車のガソリン代や遠征の場合は高速道路料金や食事代・釣具代等は掛かります。しかし、それはオカッパリでかかる費用と同じです。もしオカッパリで車を使ってランガンしてした場合は車のガソリン代が多くかかってしまうことを考えてもアルミボートでの釣りは皆さんが思っているより費用がかからないのではないでしょうか?